VPS でできることまとめ 【Web技術】

Linux

自分でサイトを作るためレンタルサーバーなどに関心を持ったとき、有名どころのサービスを探すと、たいてい、VPS (Virtual Private Server) が選択できるようになっています。具体的にどんなことに使えるのかなど、VPS の特徴や、VPS でできることについてまとめておきます。

一例として私の場合、以下の環境を使っています。
環境: VPS  (ConoHa VPS)、Linux (CentOS)

背景

レンタルでサーバー(ConoHa VPS)を契約し、自分のサイトを作って1年以上となりました。
この間、VPS に関する理解もかなり深まりました。
少し余談のような感じにはなりますが、VPS でできることについてまとめておきます。

VPSの特徴

まず、VPS (バーチャルプライベートサーバー)の特徴、メリットについてまとめておきます。

すぐ導入できる: 導入・改廃のハードルが低い

従来型のサーバーをハードウェアとして1台購入する場合、サーバー機器の選定から、発注・納品、支払いなど、けっこう手間がかかります。
導入後もハードウェアの設定やメンテナンスのコストがかかりますし、更新や廃棄にも手間がかかります。

この点、VPS、レンタルサーバーとすると、サイト上の作業だけで導入が完了します。
具体的には、レンタルサーバー会社のサイトでユーザー登録をし、クレジットカードなどで初期費用をチャージします。すると、サイト上でそのまま CentOS などの Linux や Windows を選択して設定できるようになっています。
CentOS などを選択して起動すると、そのままサーバーが動くようになります。

費用請求は、サイト上でサーバーを設定している期間となります。ユーザー登録をした状態であったとしても、データを自宅のパソコンなどにバックアップして、サーバーの設定を削除してしまえば、以後の費用負担はなくなります。
設定しているサーバーにはグローバル IP アドレスなどもすでに振られています。したがって、Linux に Apache などのウェブサーバーのソフトウェアをインストールすれば、自宅のパソコンからアクセスして、サイトを参照できるようになります。
レンタルサーバー業者のサイト上でサーバーの設定をすると、1台のサーバーがすぐに使える状態となるというのは、大きなメリットといえます。

カスタマイズ性が高い

レンタルサーバーでウェブサイトを作ろうとしたとき、できるだけ設定を簡単に済ませたいとなると、WordPress の簡単セットアップなどのサービスが充実した、共用サーバーが適していると思います。
ところが、サーバーの技術検討や勉強のため、プログラムをインストール/アンインストールするなど、自由にカスタマイズしたいとなると、共用サーバーでは限界があります。

この点、VPS は、Linux などの管理権限(root権限)が与えられていますので、自由に使うことが可能です。契約を変更する場合も、サイト上でデータを引き上げてOS を入れ替えて再設定しなおすことも可能です。SSD などの拡張、プラン変更もしやすいようになっています。
Linux など、設定した OS のまっさらな状態から好きなソフトウェアをインストールして自由に設定できます。
最新のバージョンのソフトウェア、流行っているプログラムをインストールしてテストしてみるなど、サーバーの技術検討、実験が自由にできます。

企業の技術者や学生であったとしても、OS の設定後、任意のライブラリーのインストール、サイト公開まで、完全に自由に使えるサーバーが使える環境はなかなか得られないと思います。
サーバー技術に関する自己投資と考えると、有力な選択肢となると思います。

ランニングコストを低減できる

また、企業などでよく使われている専用サーバーと比べると、レンタル費用を低額に抑えることが可能です。VPS の名前でバーチャルとしていることからもわかるとおり、サーバーのハードウェアを専用で借りているわけではないためです。
具体的には、月額 600 円程度から、VPS のレンタルが可能です。
私の場合、レンタル会社の株式を購入して株主優待でサーバー代をまかなっていますので、キャッシュフローという点では、実質、現金の流出が最小となる運用としています。

ハードウェアをメンテナンスフリーにできる

ハードウェアのメンテナンスの部分については、レンタル会社で行ってもらえるため、メリットといえます。

比較例として、例えば、Raspberry Pi などで自宅で Linux を使うとして、ログ収集やウェブスクレイピングなどのプログラムを実用化し、長期間、動かすとします。
実際に長期間の運用を行ってみると、1年前後で、SD カードやハードディスクの破損などトラブルを経験すると思います。
VPS をレンタルすると、こうしたハードウェア側のメンテナンスは、レンタル会社側が負担する格好となります。ハードウェアのメンテナンスがフリーになるメリットがあります。
ハードの経年劣化に備えるため、SD カード、ハードディスク、SSD を購入し続ける、Linux PC の高熱対策を検討するといったハードウェア側の手間、心配を低減できます。
日頃行っている定型作業、常時稼働させると便利な機能を順次スクリプト化して、VPS で自動処理させるようにすると、SSD や SD カード、電気代など、消耗品や維持コストに関連する費用負担を最小化できるメリットがあります。

今後のリモートワークの働き方に対応したスタイルになっている

VPS を使うと、サーバーは、レンタル会社側のサーバー機器を使用することになります。ユーザー側は、自分のパソコンのブラウザか、Tera Term などのソフトウェアを介して、サーバー機器を遠隔操作することになります。
つまり、ローカルの環境に強く依存せず、また、ユーザーがいる場所に強く依存せず、サーバー環境を利用できることになります。旅行などで出かけた際に、ノートパソコン経由でサーバーにアクセスして作業をするといったライフスタイルが実現します。

自宅のパソコンを更新する場合でも、VPS やサーバー上のデータはネットの向こう側にありますので、インストールのやり直しなどを最小化できます。
また、サーバー上で新規にユーザーを設定して、Tera Term で遠隔アクセスすることで、VPS を複数人で共有化すれば、共同でサーバー上のプログラムを開発したり、Web サイト、Web サービスを改善することが可能となります。
データも VPS サーバー上に保存する格好となりますので、データの共有、公開が容易となります。老朽化や自然災害で、自宅やオフィスのパソコンなどが破損した場合でも、サーバー上にはバックアップがあることになります。
リモートワークは今後も試行錯誤や普及が続いていくと考えられますが、今後の働き方を取り込んで実践することが可能となります。

VPS でできること

つぎに VPS でできることについてまとめます。

Web 技術を習得できる

典型的なものとしては、CentOS などの Linux に Apache、MySQL、PHP (LAMP) といったソフトウェアをインストールして、WordPress の設定をすることで、Web サイト制作の基礎的な技術を習得することが可能です。
また、PHP ベースの Larabel、Python ベースの Django などをインストールして、Web フレームワークの技術習得につなげることも可能となります。

Linux などの設定にはコンソール画面を使うことになると思います。学生時代/大学時代などに Linux/Unix などを使ったことがある場合は、ハードルはそれほど高くないと思います。使ったことがなくても、ちょくちょく使っていると、数か月から半年くらいで慣れてくると思います。
私の場合、大学時代に Unix/Linux、LaTeX、プログラミングなどは学び、使っていました。当時は、Webエンジニア、Web 技術はあまり重視していませんでした。
現在のビジネス、マーケット環境、GAFA などの状況を考えると、Web関連技術は理系分野での必須科目の1つとなっていてもよいようにも思います。

サイト運営ができる & 処理の自動化ができる

個人であれば、WordPress を入れてブログを立ち上げてみるのが最初の典型例となると思います。
サイトに、よく使う情報をまとめてアップしておけば、スマートフォンなどからでも自由に参照できるようになります。
また、Webサービス、EC サイトに発展させることも可能です。

サイトを作ると、実質的に24時間稼働させることになります。
24時間稼働のパソコンを1台持つことになりますので、ウェブスクレイピングなど自作のプログラムを作成して自動実行・定期実行するなどにより、技術レベル、情報処理の価値を高めていくことが可能です。
たとえば、ローカルの Windows や Linux で Python の便利ソフトを作成したら、VPS に移植して、以後、自動実行することが可能です。

収入を得る可能性を作っておくことができる

VPS に WordPress、Web フレームワークを導入することで、ブログや Web サービスを作るなどが可能となります。
サイトのアクセス数が伸びてきたら、信用の蓄積、収入につなげられる可能性があります。個人の情報発信の手段、アフィリエイト収入などの可能性を確保しておくことは、今後、重要になっていくと思います。

会社員の場合を考えると、今後は企業の買収・売却、退職者募集なども増えると思います。
自分の過去の経験や努力をひとつの企業の中だけで完結させてしまうと、将来のリスクになると思います。
努力を外部に向けることで、情報発信、信用蓄積、収入源の可能性を作っておくことは重要だと思います。

将来の変化への備えができる

機械学習などが典型ですが、最近の技術革新はソフトウェアの分野で著しいです。
技術革新が起きない分野で何年も働いていると、変化に取り残されてしまう可能性があります。
VPS を活用することで、サーバー上で LAMP 等の環境を構築してみる、Python で作ったスクリプトを自動で実行してみる、などの実践が可能となります。
サーバー技術、オープンソースの活用など、最新技術を取り込みやすい環境に常時身をおくことで、機械学習など新しいソフトウェアをテストしてみるなども容易となります。こういった試みは今後は、会社に頼るより、個人か、できる限り小さな組織でやったほうが早いですね。
将来の変化に備えることになり、環境変化に対するリスク低減となります。

まとめ

VPS を実際に使ってみた経験をふまえ、VPS でできることについてまとめてみました。

なお、サーバー関連技術について、随時、このサイトにまとめています。
また、私は ConoHa VPS を使っています。もし関心のある方は、以下の関連リンク、外部リンクも参照してみてください。

関連リンク
・ Web サーバーの構築手順まとめ 【Linux】
・ オープンソースに関するまとめ 【ライセンス戦略】
・ ConoHa VPS を申し込みました【レビュー】
・ レンタルサーバーの比較表

外部リンク
・ [PR] GMOインターネットグループの Virtual Private Server: ConoHa VPS
・ ConoHa VPS のスペック・料金: https://www.conoha.jp/vps/pdf/conoha_spec_ja.pdf
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