人事評価制度の方向性

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最近は、コロナの影響、在宅勤務の普及、企業の統廃合など、これまでになかったことが多発しています。
ドラッカー型の従来の人事システムの問題点が明らかになってきていると思います。
ポイントを整理してみます。

おもな人事評価制度を比較してみる

代表的なドラッカーの MBO と、アンディ・グローブの OKR を並べて比較してみます。

MBO 業務目標管理
Management by Objectives
OKR
Objective and Key Result
提唱 ピーター・ドラッカー
1950年代
アンディ・グローブ
1970年代
評価の頻度 1年、又は、半年に1回 3か月おき、又は、毎月
情報共有 本人と上司のみ 全社
目的 報酬を決定する評価 生産性の向上、プロセス管理
指揮命令 トップダウン型、縦型 ボトムアップ型、水平展開型
必達度 100% 60~70%
採用例 Google などで採用

ドラッカー型の目標管理の形骸化

過去、人事管理の手法として、業務目標管理 MBO が流行して普及しました。しかし、さすがにもう古くなってきたと思います。
半年前、1年前に立てた計画が今もそのままという企業がいまどきあるのでしょうか。
3か月後ですら、どうなっているかわからないというのが実感ではないでしょうか。
事業売却になったり、事業自体、会社自体がなくなっているところも多いです。
おそらく、ほとんど変化のないマーケットにおいては、ドラッカー型の管理でもうまくいったのだと思います。

大企業でのトップダウン型管理の限界

また、在宅勤務が普及して勤務がバラバラになる傾向があります。トップダウン型の指揮命令が機能しづらくなっています。
トップダウンで降りてくる方針、製品・サービスの企画、計画に従えば、十分な売上、利益が得られるという実感がありますか。
実効性のある製品・サービス戦略をトップダウンで展開するのが難しくなっているのが実態だと思います。
マネジメントがトップダウンで社員を動かしたいと思っていても、オフィスは縮小してリモートになっており、伝達すら難しくなっています。

評価に関する情報共有も、本人と上司となっており、クローズしたところだけで決められています。
評価や報酬を本人と上司だけで決めようとしたところで、環境変化や外的要因が大きすぎるので意味がなくなってしまうケースも多発していると思います。
評価に関しては、社員側から見ると、コロナの影響で評価が一方的に下がってしまい、納得性が失われがちです。
経営方針に従っていたにも関わらず「今回の評価は下がりました。ボーナスは…%カットです」などと伝えられることになり、多くの社員のモチベーションが下がってしまいます。
最近は、数か月経つと、コロナなど社会やマーケットの状況が刻々と変化しています。経営から的確な方針が展開されていますでしょうか。マネジメントが思考停止に陥ってはいませんか。
危機が生じたときマネジメントがどう反応するかで、経営層の対応能力がわかると思います。
有効なビジョンや戦略、方針展開が失われてしまい、ドラッカー流のマネジメントの限界が明らかになってきていると思います。

アドラー心理学で考えてみるとどうなるか

最近、よく見聞きするアドラー心理学では、社員などの評価自体は本人の課題ではなく、他人(上司)の課題とのことです。
評価がどうあれ、本人が悩んでも仕方がないことです。
また、環境変化が激しく、マネジメントが有効な戦略を展開できなくなってきています。
問題が生じたとき、担当者の責任にするケース(解雇する、ボーナスを下げる)も散見されます。これは、他人の課題です。

対策

働く環境が上記の状態だとすると、サラリーマン個人としては、今まで通り、同じ環境、同じ枠内で努力するという姿勢は間違っていることになります。
もし会社が、ドラッカー型の管理をしている場合、会社が変わることを期待しても仕方がありません。これは他人の課題です。
自分の課題として完全にハンドルできる領域を作って可能性を広げておくべき、ということになります。個人でスキルを身につけたり、たとえ社外や他部署でもよいので、可能性を実感できそうな領域を探し出して実行に移したほうがよさそうです。
個人としては、将来の対応を進めておいたほうがよいです。新しいことをどんどん始めましょう。
おそらく将来は、上の OKR の比重が強まる方向に進むのではないかと考えられます。

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